時折、既視感のような、郷愁のような得体の知れない感情が私を驚かせる。それは香りや音が呼び起こすイメージである事が多い。
雨の日の革製の車のシートの匂い。
雨の中、傘も無く困っていた迷子のわたしを拾い上げてくれて、家まで送ってくれた親切なレインコートのおじさん。ダッシュボードからヌガーをひと掴み、わたしのポケットに入れてくれた。ウィンストンと書いてある赤いたばこの箱。おじさんの頭は卵形できれいに剥げていて、お風呂上がりのような清潔さ。
でも、そんな事は実際には起きなかった。呼び起こされたイメージが重なり合って嘘の記憶を生成する。ただそれだけ。
2010年2月9日火曜日
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