Listen to '1 Minute Music : Hypnotism of Dr.Cho' by Zero Bluecoat
http://bln.kr/1901/2011年6月8日水曜日
2011年2月4日金曜日
Road To Everywhere #4
生きていると時々、自分ではどうにもならないことに出くわして戸惑う事がある。
自分の理解を超えたできごとが起きてしまって、あまりの見通しの悪さに自分がとてつもなく非力でちっぽけだと思い込んでしまう事がある。
理不尽なくらいに悲しい事が突然起きてしまい、いま何が悲しいのかすら見当がつかなくなる事がある。
いつかは終わる事を知っていながら、気が付かない振りをして暮らして、終わりが来た時に、からだじゅうが痛くなる程の罪悪感に心が満たされてしまう事がある。
そして、それらがすべていっぺんに来ることもある。
困った事にそういう時、過去は素敵に甘美だ。やわらかなクッションの様に、日だまりの中で、薄目を開けて半分だけまどろむ、ねこのこどもの様に。
机の引き出しの中、細かながらくた達が眠っている。
過ぎ去ってしまい戻る事の叶わない、私の時間。そこへ戻るための鍵。
いや、それはきっと嘘だ。雨上がりに濡れた蜘蛛の巣に鳥の羽根がくっついている様なものだ。そこにはもう雨は降ってもいないし、蜘蛛もいない。鳥は遠くへ飛び去ってしまっている。
でも、とても美しい。
夏休みに湖に落としてしまって壊れた時計や、どのペン先も上手くあわないペン軸や、クリスマスが終わって片付け忘れたツリーのちいさな飾りや、着せ替えにんぎょうの片っぽだけの靴や、どの自転車のものか絶対に思い出せない鍵や、不思議に小さい乾電池や、名画座の素っ気ないチケットの半券などを、捨てずに引き出しに収めた時には、いつか過去を惜しむためだった訳ではなかった筈だ。
過去は現在を生む。でも現在が無ければ過去は存在出来ない。
引き出しを一度収めて、またゆっくり開けた。
2010年2月10日水曜日
Road to Everywhere #3
口の中でキャラメルを転がしながら、五月の暖かい光を感じながら。
けものの匂いが立ちこめる動物園で、理不尽すぎる程の大きな悲しみに出会う。
「らいおんはなんでおこってるの?」「怒ってはいないよ。あれが普通なんだ」「もうお弁当にしましょうね」
大好きな筈のウィンナーはあまりおいしく感じられなかった。
けものの匂いが立ちこめる動物園で、理不尽すぎる程の大きな悲しみに出会う。
「らいおんはなんでおこってるの?」「怒ってはいないよ。あれが普通なんだ」「もうお弁当にしましょうね」
大好きな筈のウィンナーはあまりおいしく感じられなかった。
2010年2月9日火曜日
Road to Everywhere #2
時折、既視感のような、郷愁のような得体の知れない感情が私を驚かせる。それは香りや音が呼び起こすイメージである事が多い。
雨の日の革製の車のシートの匂い。
雨の中、傘も無く困っていた迷子のわたしを拾い上げてくれて、家まで送ってくれた親切なレインコートのおじさん。ダッシュボードからヌガーをひと掴み、わたしのポケットに入れてくれた。ウィンストンと書いてある赤いたばこの箱。おじさんの頭は卵形できれいに剥げていて、お風呂上がりのような清潔さ。
でも、そんな事は実際には起きなかった。呼び起こされたイメージが重なり合って嘘の記憶を生成する。ただそれだけ。
雨の日の革製の車のシートの匂い。
雨の中、傘も無く困っていた迷子のわたしを拾い上げてくれて、家まで送ってくれた親切なレインコートのおじさん。ダッシュボードからヌガーをひと掴み、わたしのポケットに入れてくれた。ウィンストンと書いてある赤いたばこの箱。おじさんの頭は卵形できれいに剥げていて、お風呂上がりのような清潔さ。
でも、そんな事は実際には起きなかった。呼び起こされたイメージが重なり合って嘘の記憶を生成する。ただそれだけ。
Road to Everywhere#1
写真や動画があたりまえに存在する時代に生まれ落ちた私たちに於いては、全ての記憶の光景は共有化されている。
借り物の記憶のハイウェイを、レンタカーでドライブしよう。
借り物の記憶のハイウェイを、レンタカーでドライブしよう。
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